ゲーム業界の転職、「面接」で不採用になる理由って何なんだ!

面接

ゲーム業界の転職、「面接」で不採用になる理由って何なんだ!

ゲーム業界の転職、「面接」で不採用になる理由って何なんだ!

ゲーム業界のクリエイティブ職の転職活動というと、1次の書類選考で「履歴書、職務経歴書、ポートフォリオ」の3点セットが求められ、これに通過すると「面接」に進むステップが通例。今回は「書類選考は通過したのに、なんで面接で不採用になるの?」に迫ります。

目次

「経験・スキル」は面接前に評価されている

ゲーム業界の転職活動では、応募の際に「履歴書」「職務経歴書」、さらにデザイナーやアニメーターなどのクリエイティブ職であれば「ポートフォリオ(作品集)」もセットで提出し、これをもって1次選考が行われるのが一般的です。

「とりあえず面接に呼んで、応募者全員と会ってみよう」というスタンスの企業は多くありません。ほとんどの企業が職務経歴書と作品をしっかり読みこんで、応募者一人ひとりの経験値やスキル、表現の幅や得意とするテイストなど、慎重に評価した上で面接に進めるかどうかを判断しています。

そのため1次選考で「経験・スキル不足」を理由に不採用となることは多い一方、面接に進んでから「経験・スキル不足」をもって不採用という判断は、そう多くありません。経験・スキルについて、面接では「職務経歴書に書いてあることが本当か、こちらの想定するレベルを満たしているか」を検証するスタンスで話題にする企業が少なくないと言います。

では「書類選考は通過したのに、面接で不採用」となる主な理由とは何なのでしょうか。今回は、当社でゲーム業界専門にクリエイターの転職支援をしている転職コンサルタントに、その辺りの実情を聞き込み調査してみました。

「面接で不採用」になる理由って何?

企業側が「面接で不採用」と判断する主な理由を、次の3つに整理してみました。

  1. 志望動機が「うちの会社じゃなくてもいいじゃん」になっている
  2. 「転職で何を得たいのか」が定まらず、あれもこれもに聞こえる
  3. 「会社が期待する将来像」と「応募者が望む将来像」がかみ合っていない

企業が社員採用を行う場合、「長く勤めて会社に貢献してくれる人」が前提となります。1~3のように「採用しても早々にすれ違いが生じて、短期で離職するリスクが高い」印象をもつと、最初から採用しない判断をするのが企業の基本スタンスです。

では、なぜ1~3のような印象を抱かせてしまうのか、一つずつ見ていきましょう。

「うちの会社じゃなくてもいいじゃん」と思わせる志望動機って?

面接官に「うちの会社じゃなくてもいいじゃん」と思わせてしまう原因は、端的に言えば「企業研究」不足です。
その企業についてきちんと調べていないと、手持ちの情報が少ない。だから志望動機を訊かれても、「その企業ならではの特徴」と関連づけて「その企業に入社したい理由」を答えられない。例えば、次のような回答になってしまっています。

面接官「当社の志望動機は?」

  • 子供の頃の~経験からゲーム開発者を生涯の仕事にしたい(ゲーム業界どまり)
  • ○○系の3DCGデザインを極めたい(職種どまり)
  • いろんなRPGを作りたい(ゲームジャンルどまり)
  • コンソールの開発経験を積みたい(プラットフォームどまり)
  • 大規模案件・ビッグタイトルに携わりたい(プロジェクト規模どまり)
  • 運用ではなく、新規開発プロジェクトを手がけたい(プロジェクト種別どまり)

どれも「志望動機の一つ」としては成り立つのですが、それ一本で相手を納得させるのは強引。「僕のどこが好きなの?」と訊いたら、「背が高いから」と一言だけ返ってきた…みたいなゲンナリ感といったらよいでしょうか。

「それを実現できる会社って他にもありますよね」とこぼしたくなる回答では、その企業の志望動機として不十分。「なぜ、わが社なのか?」までが伝わる回答を、面接官は期待しています。

「なぜ、わが社なのか?」に答える、志望動機の練り上げ方

先ほどの箇条書きの一つが本心でも、掛け合わせて「コンソールゲームの開発+大規模案件+多様なジャンルを経験できる多角的な事業展開をしているから」とすればユニークさは増します。「その会社ならではの特徴」を「複数の観点」を織り交ぜて志望動機を練り上げ、その企業のユニークさを強調すれば、伝わるものはずいぶんと変わってきます。

それをするためには、やはり下調べが必要です。応募する企業ごとに、その会社が

  • どんなタイトル、ジャンルを手がけているのか
  • どんな社内外の体制を組み、どんなメンバーでチーム編成して開発しているのか
  • どんな組織風土・カルチャーなのか
  • どんなふうに社員のキャリアパスを考え、環境作りや育成施策を講じているのか
  • 業界からどんな点で評価されているのか

と、調べられるかぎりの企業研究が成否を分けます。「企業研究」というと堅苦しいですが、平たくいえば情報収集です。

そうした情報収集の中から、とくに自分が共鳴する「その企業の特徴」を複数ピックアップして掛け合わせ、志望理由を言葉に起こしていく準備をすれば、「うちの会社じゃなくてもいいじゃん」というゲンナリ感を面接官に与えることはありません。

情報収集には、次のような情報源があります。

  • 求人メディアの情報
  • その企業のWebサイト、キャリア採用サイト、SNSでの発信
  • その企業に勤める社員の話、SNSの投稿、ブログ、イベント登壇などでの発信
  • ゲーム関連メディアの関連記事
  • ゲーム業界専門の転職エージェントの話

手前味噌ですが、当社のようなゲーム業界専門の転職エージェントも、各社ごとの特徴を把握し、応募や面接の際は1対1で情報提供や助言を行っています。ぜひ活用してください。

ちなみに、この志望動機の練り上げは、企業側からスカウトを受けた場合も同様に大切です。「スカウトされたから来ただけ」というスタンスでは、主体的に情報収集して、真剣に対話・検討する気がないんだなと思われて、まとまるものもまとまりません。

「転職で何を得たいの?」と、面接官が疑問符を打つ内幕

2つ目の、面接官の頭に「転職で何を得たいの?」と疑問符を浮かばせてしまう原因は、端的に言えば「自己分析」不足です。

今回の転職を、自分にとってどういう転機と位置づけているのか。何を得られれば転職成功と言えるのか。この点を整理しないで臨むと、数十分の面接の中で「あれ、さっきの質問の答えと、今の質問の答えって矛盾しない?」と、面接官が眉間にしわを寄せる事態を招きます。

一つの質問の答えがどうこうというより、一連の回答を聞いていく中で「つじつまが合わない」「両立できないものを両方欲しがっているように聞こえる」という印象を与えてしまうのです。

あるある例として、面接で訊かれる頻出質問「退職・転職理由」「キャリアプラン」「志望動機」「最後の逆質問」をみてみましょう。次の一連の面接問答を読んでみて、後から全体を振り返ったとき「一本筋が通った人物像が浮かび上がってこない」感じが伝わるでしょうか。

  • 退職・転職理由は?
    「今の職場は残業時間が多く、正直かなりブラックな環境。30代も近づいてきたので、ワークライフバランスも考えて長く安定して働ける職場に」
  • キャリアプランは?
    「大規模案件・多ジャンルの経験を積み、現場でデザイン・リードを担えるようになりたい」
  • 志望動機は?
    「今回は○○タイトルの募集ということで、昔から大好きなゲームだったので、ぜひ携わりたくて」
  • あなたから質問は?
    「残業時間はどれくらいですか」
一本筋が見えてこない面接問答

それぞれの質問に、正直にまっすぐに答えた結果かもしれない、一つひとつの回答がどうまずいという話ではありません。ただ、短時間で初対面の相手に自分をプレゼンテーションしようという場面で話すには、一本筋が通った人物の足跡を残せていない状態です。

答えを聞くごとに面接官が描くあなたの輪郭線はおぼろげになっていき、とうとう「何をしたい人なのか」の像を結ばずに面接が終わってしまう。となると、やはり「面接NG」となりがちです。

全部入りで求められても企業には無茶な相談

一貫した自分像を結ぶ、面接シナリオの練り上げ方

一本筋が通った人物像が浮かび上がってくる面接パフォーマンスというのは、事前の自己分析に下支えされています。改まった言葉にしなくていいので、まずは自分の中で、次の一つひとつに筋の通った答えをもつこと。これが面接シナリオの骨になります。

  1. 今回の転職では、転職ゴールAを求めて転職活動している(退職・転職理由)
  2. なので転職先には、Aを実現できる環境B1を求めている(職場に求める環境・条件)
  3. 御社にはBがあると情報源Cで知って関心をもった(御社に興味をもったきっかけ)
  4. さらに調べてみると御社には自分が求める環境B2、B3、B4もある。自分のキャリアプランDを実現するのに最適と思い、ぜひ入社したいと思った(御社の志望動機)
  5. B1~4を得るためには、トレードオフでEの譲歩をいとわない(明確な優先順位)

あなたのA~Eは、明らかでしょうか。なんだか抽象的で難しいなぁという場合は、自分の答えを考える手引きとして、次のシナリオを例として読んでみてください。

一貫した自分像を結ぶ面接シナリオ例

「マネージャー職にチャレンジしたいが、今の小さな職場ではそのポジションを作れないため無理(A)。未経験でもマネージャーに挑戦できる職場を探し(B1)、〇〇求人メディア(C)で御社の募集を見つけた。調べてみると、段階的なマネージャー育成体制(B2)、研修やメンター制度(B3)も充実し、以前から自分のキャリアモデルと敬愛している〇〇さんの仕事ぶりに触れられる職場(B4)でもある。これから数年かけて集中的にチームをリードできる力を養いたいと思っていた自分に最適な職場環境だと思って応募した。もちろんマネージャー職は未経験なので、入社時に給与が下がることは織りこみ済み(E)」

こんな具合に、一本筋の通った自分の考えを1~5を含めて一つのお話にまとめてみてください。これをしておくと、面接で順不同に質問されても、面接が終わった段階で「この人はこういう考えをもった人なんだな」という安定したイメージを面接官がもちやすいでしょう。

とくに「Eの譲歩」は見落としがち。「~を得るためには、Eを譲歩する(手放す/削る/減らす)覚悟がある」というトレードオフは、あらかじめきちんと整理をつけて臨みましょう。そうすることで面接官は「この人は客観的に自分を見られる人だな」という好印象をもちますし、「あれもこれも欲しがっている」という印象を与えることを回避できます。

ちなみに「~さんのほうから何か質問はありますか」という最後の逆質問。ここでは実際問題、一貫性を欠こうが確認したい重要事項ってあると思います。報酬や待遇のこと、残業時間の実態、福利厚生に関すること。こうした確認・交渉ごとは、転職コンサルタントに任せるのが得策です。転職コンサルタントは、年俸交渉や、気になる業務環境・福利厚生の確認をご本人に代わって行っています。そういう役割分担にも、うまく活用してほしいです。

面接は「会社が期待する将来像」と「応募者が望む将来像」を突き合わせる場

3つ目、「会社が期待する将来像」と「応募者が望む将来像」がかみ合っていないと思われてしまう、これはある意味で仕方がないこと。求人情報や下調べだけでは伺い知れず、個人面接でおたがいに腹を割って話し合ってこそ相性を見極められるところも多分にあります。そのための面接でもあります。

例えば、あなたが「今はデザイナーですが、将来的にはプロデューサーになりたい」と表明したとします。でも、その会社にはプランナー出身のプロデューサーしかおらず、現実的にみてデザイナーからプロデューサーへの転向が実現困難な場合、面接官が「もっと職種転向が柔軟な企業に転職できたほうがいいだろう」「うちに入っても数年で辞めてしまうだろう」と考えて不採用とする判断もあります。採否の結果は「他の応募者と比べてどうか」という相対的なマッチ度合いによっても変わってきます。

キャリアパスの不一致

会社が「今回の募集ポジションに期待する任務、役割、キャリアパス」と、自分が「やりたいこと、就きたいポジション、将来的なキャリアプラン」を対面で突き合わせてこそ見えてくるズレもある。それが許容範囲を超えていれば、採用見合わせということもあるでしょうし、あなたのほうでそう判断することもある。それはそれで有意義なプロセスだった、入社前に相性が見極められて良かったという受け止めもできるのではないでしょうか。

面接前につかめる「会社が期待する将来像」は調べてから臨む

ただ一方で、求人情報などに書いてある情報なのに、面接で将来像のズレが発覚するのは避けたいもの。企業側は「企業研究を怠っている」と評価しますし、「うちの会社の入社意欲はそれほどでもないんだろう」と失望してしまいます。転職活動の効率も悪く、せっかく面接に行ったのに、骨折り損のくたびれ儲けになってしまいますよね。

とはいえ、とくに中小~中堅のゲーム会社の場合、事前に入手できる情報にも限りがあって、「その会社が」「今回の募集ポジションで」どういう中長期のキャリアパスを期待しているかは、なかなか伺い知れないところがあります。この辺りも転職コンサルタントが個別に情報提供や助言をできますので、ぜひ活用してほしいところです。

まとめ

今回は「書類選考は通過したのに、なんで面接で不採用になるの?」に焦点をあててみました。面接パフォーマンスをアップするのに、少しでもお役立ていただければ幸いです。

ちょこまかと転職コンサルタント活用法についても挟みこんでしまいましたが、当社では日々、ゲーム業界専門の転職コンサルタントが1対1で「応募先企業ごとの特徴」や「今回の募集ポジションに企業が期待する将来像」を情報提供したり、面接対策アドバイス、模擬面接の練習相手などを通してゲームクリエイターの転職活動をサポートしていますので、ぜひご活用ください。

▼ゲーム業界への転職を検討している方はこちら!
当社ではゲーム業界に関連する転職・求人情報を掲載しています。少しでもご興味がある方は下記から自分にあったお仕事を探してみましょう。

トレーニングディレクター/キャリアカウンセラー林 真理子
トレーニングディレクター/キャリアカウンセラー
林 真理子

1996年よりクリエイティブ職のキャリア支援・人材育成事業に従事。広告・メディア・ネット業界を中心にクリエイティブ職向けトレーニングやワークショップを開発。開発講座数は数百、法人提供実績は50社超。講師には実務エキスパートを招聘し、自身は裏方のインストラクショナルデザイン(教授設計)とプロジェクトマネジメントを専門に手がける。クリエイティブ職の仕事の学び方や教え方、人材育成やキャリア形成に関するスライドをSlideshareにて公開、総閲覧数は29万ビュー超。国家資格キャリアコンサルタント、日本キャリア開発協会認定CDA、日本MBTI協会認定MBTI認定ユーザー。