『ポケットモンスター』を支えるクリーチャーズとは? 開発者インタビュー

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『ポケットモンスター』を支えるクリーチャーズとは? 開発者インタビュー

クリーチャーズ社エントランス

ゲーム好きの方なら一度は『ポケットモンスター』のゲームをプレイしたことがあるのではないでしょうか? ポケモンの3Dモデリング・モーション制作や『ポケットモンスター』の派生ゲームソフトを開発している株式会社クリーチャーズにインタビュー!

株式会社クリーチャーズとは

1995年に設立された株式会社クリーチャーズ(以下、クリーチャーズ)は、『ポケットモンスター』シリーズの原作3社の内の1社です。主にポケモン関連のデジタルゲームや、ポケモンカードゲームの企画・制作等を行っています。

『ポケットモンスター X・Y』以降の本編シリーズでは、ポケモンのモデリング、モーション作成を担当しており、他にも、『Pokémon GO』『ポケモンガオーレ』『ポケモンコマスター』などのゲームや、プロモーション映像およびフィギュア原型など、様々なコンテンツで使用されるポケモンモデルデータの作成、提供も行っています。

クリーチャーズがこれまで開発を行ったポケモン関連のゲームとしては、『ポケモンレンジャー』シリーズ、『ポケパーク』シリーズなどがあります。ポケモン初のハリウッド実写映画のベースにもなった、ニンテンドー3DS『名探偵ピカチュウ』(2018)では、おじさんくさくて人間の言葉を喋るピカチュウという独特のキャラクターを生み出しました。 ポケモンコンテンツへの理解が深く、ゲーム機の技術発展に伴って表現の幅が広がる中、常にチャレンジングな作品を創ることができるのがクリーチャーズの大きな特徴です。

ポケモンレンジャー

『ポケモンレンジャー』
(ニンテンドーDS)
※株式会社HAL研究所と共同開発
(2006)

ポケモンレンジャーバトナージ

『ポケモンレンジャー バトナージ』
(ニンテンドーDS)
※企画、制作
(2008)

ポケモンレンジャー光の軌跡

『ポケモンレンジャー 光の軌跡』
(ニンテンドーDS)
※企画、制作
(2010)

ポケモンパークwii

『ポケパークWii
~ピカチュウの大冒険~』(Wii)
※企画、制作
(2009)

ポケモンパークBW

『ポケパーク2
~Beyond the World~』(Wii)
※企画、制作
(2011)

名探偵ピカチュウ

『名探偵ピカチュウ』
(ニンテンドー3DS)
※開発
(2018)

デザイナー人生を賭けられる会社。ポケモンの魅力と作る人が楽しめる環境がある。

クリーチャーズ社エントランス

今回、モーションチームでデザインリーダーをされている渡辺 敦さんにお話をお伺いしました。

私は、クリーチャーズに入社するまでの間、ゲームや映像、webなどさまざまなメディアやコンテンツのデザインを20数年にわたって手掛けてきました。デザイナーとしての出発は、大手化粧品会社のwebデザインでした。その後、方向を変えてゲームの映像やキャラクターのモデリング、モーションの制作など多岐にわたり関わってきました。

これまで私は、デザインのスペシャリストよりもゼネラリストとして仕事をするというスタンスで、メディアやコンテンツの種類にこだわらずに仕事をこなしてきました。昔身につけた技術は今ではほぼ通用しないと思いますが、何でも経験してきたことが、柔軟な姿勢を求められる今の仕事の基礎になっていると思います。

ポケモンとの出合いは2011年。クリエイターの人材支援会社である株式会社イマジカデジタルスケープから株式会社ゲームフリーク(以下、ゲームフリーク)を紹介され、派遣社員として仕事を始めた時でした。「ポケモン」といっても、私はそれまでピカチュウしか知らなかったのですが、ゲームフリークでのゲーム制作を機に、ポケモンの世界を初めて知ることになりました。

その後2013年に、クリーチャーズにモデラーとして派遣されました。ポケモンというコンテンツのみならず、クリーチャーズの牧歌的な社風と柔軟に仕事ができる環境に魅かれました。

ポケモンのゲーム制作に携わる前は仕事に対するモチベーションが下がっていたのですが、ポケモンの仕事を通してふたたび意欲がわいてきました。そして、ゲーム開発の根幹から関わりたいと思い、デザイナー人生を賭けるつもりでクリーチャーズへの入社の希望を伝えたところ、2017年に正社員として入社することになりました。 ちなみに、私はポケモンに関してはずっとモデリングを担当していましたが、本職はモーションデザイナーということもあり、クリーチャーズではモーションチームに所属しております。

デザインリーダー渡辺敦(ワタナベ アツシ)氏

デザインリーダー
渡辺 敦(ワタナベ アツシ)氏

<プロフィール>デザイナーとしてゲーム業界歴は20年以上。映像・ゲーム開発の経験を積み、クリーチャーズにデザイナーとして入社。現在は、モーションチームに所属し、デザインリーダーを務める。

<担当タイトル>
・『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア』
・『名探偵ピカチュウ ~新コンビ誕生~』
・『名探偵ピカチュウ 』
・『名探偵ピカチュウ』完全完結編

派生ゲームならではの新しい視点でポケモンの魅力を伝える。

クリーチャーズで開発しているゲームで初めて関わったのは『名探偵ピカチュウ』で、本作では人物のキャラクターモデリングを担当しました。 モデラーの仕事をしている時に感じることは、「作っているときが楽しい、作ること自体が楽しい」ということ。ポケモンであっても、ポケモン以外のキャラであっても、同じスタンスで作ってきました。 モデリングの仕事はゲーム開発の上流にあり、その後の工程から発売まで1年以上掛かる時もあります。特にポケモンは、開発工程の中で、何度もデザインのブラッシュアップを行うので、作品の発売時に自分が関わったキャラクターがどのようにゲームに反映されているのか、確かめるのが楽しみの一つでもあります。

クリーチャーズが手がけるポケモンのゲームは、ポケモンに探偵帽をかぶせたり、おじさんの声で喋らせるなど、派生ゲームならではの新しい視点でポケモンの魅力を伝えるというところに開発の面白さがあると思います。クリーチャーズが長年にわたってポケモンを深く理解し、技術を積み上げてきたからこそ実現できることだと思います。

デザインリーダー渡辺敦(ワタナベ アツシ)氏

会社の成長とともに社員が増加する中、リーダーとしてメンバーをマネジメント。

私が所属するデジタル開発本部には、現在60名強の社員が在籍しています。グループは職能ごとに分かれており、ゲームデザインチーム、プログラムチーム、サウンドチーム、さらに3DCGを制作する「ポケモンCGスタジオ」という部署があり、その中にモデリングチームとモーションチーム、情報管理を行うチームがあります。

中途で入社する社員が多く、組織づくりが急務の今、マネジメント業務はとても重要です。私は今年からモデル制作の現場から離れ、『名探偵ピカチュウ』の完全完結編の制作プロジェクトにおいて、デザイナー全体のリーダーを務めています。

デジタル開発本部のマネジメントの役割は、大きく分けて「リーダー」(プロジェクトのセクションリーダー)と「チームメンバーのサポート」の2種類があります。私の所属するモーションチームは2つのグループに分かれており、私は6名のメンバーのマネジメントを担当しています。プロジェクト内でのデザインリーダーの役割とは別に、モーションチームのリーダーとしての役割もあるということです。

リーダーとしての具体的な業務は、ゲーム制作プロジェクトに関わるメンバーの制作進行と品質の管理で、スケジュールに支障なく進んでいるか状況を把握しています。もう一つのマネジメント業務として、モーションチームメンバーのサポートがあります。会社とメンバーの間を取り持つあらゆる事について相談やサポートを行っています。

クリーチャーズ社エントランス

今は開発体制を築く役割に徹する時。リーダーとしての達成感はその先にある。

リーダーの仕事のここが楽しい、やりがいを感じる、ということは、正直なところ今はありません。 中途で入社する社員が増える今日。会社を成長させるための良い職場づくりと、市場の要求に応える製品づくりの体制を数年かけて整えることが、今の私に求められる役割だと思っています。リーダーとしてのやりがいや達成感が得られるのは、体制を築くことができた時ではないでしょうか。

現在関わっているプロジェクトには、デザインアセット制作に対して柔軟に対応できるデザイナーが集まっています。活発なコミュニケーションが取れて職場の雰囲気が良く、その良い雰囲気のなかで作られたものこそがクリーチャーズのゲームだと思います。作る人が楽しめなくては、いいゲームは生まれないと考えています。デザイナーが思う存分に楽しく仕事ができる環境を作るのが、私の今の大きな役割です。

その一方で、デザイナーはあくまでも発注者の要望に応えることが仕事の基本だと思っています。特殊な発注についても、「こういう見方ができる」と自分の価値観を変えて、答えを提示できる人こそ成長できるのではないでしょうか。柔軟な見方ができるからこそ、デザイナーとしての能力を伸ばせると私は考えています。

クリーチャーズは自由度の高い仕事ができ、人物や背景など、ある程度制約のあるポケモン以外のアセットを制作できる点も大きな魅力です。技術や経験においては、一般的なコンシューマーの制作経験のある方であれば、十分にチャレンジできると思います。また、モデリングやモーション開発用のツールについては、業務を通して少しずつ覚えることができます。

デザインリーダー渡辺敦(ワタナベ アツシ)氏

これから私たちとゲーム開発に携わる方には、ぜひポケモンを使って新しい遊びを作りたい、チャレンジしたい、という思いをもってきてほしいです。ポケモンをまだよく知らない人でも問題なく携われます。先程も申しましたが、私自身も当初はピカチュウしか知りませんでしたが、デザイナーとしての経験を積み重ねていく中でポケモンの魅力を感じるようになりました。

今後の仕事の目標は、リーダーとしてクリーチャーズの事業の特色や社風の良い面を残しながら、品質の高い製品づくりの体制をつくること。長い時間がかかりますが、ゲーム開発のノウハウを蓄積し、知識を資産として、ゲームも会社も一緒に育ててていきたいと思います。

©2006 Pokémon. ©1995-2006 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc. ©2006 HAL laboratory,Inc.
©2019 Pokémon. ©1995-2019 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc. ポケットモンスター・ポケモン・Pokémon・ポケパーク・ 名探偵ピカチュウは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。
ニンテンドー3DSのロゴ・ニンテンドー3DSは任天堂の商標です。
Wiiは任天堂の登録商標です。
Wii Uのロゴ・Wii Uは任天堂の商標です。

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