「熱狂のためズバ抜けたものを追求したい」 株式会社スクウェア・エニックス ゲームプランナー 安江 泰氏
「熱狂のためズバ抜けたものを追求したい」 株式会社スクウェア・エニックス ゲームプランナー 安江 泰氏
<1>"企画"とは最後まで責任を持って作り上げること
──:肩書きはマネージャー/ディレクターとなっていますが、プランナーとしても活躍されているんですね。
安江 泰氏(以下、安江):そうなんです。入社以来16年間企画のお仕事をベースにゲーム開発に携わってきました。現在は主にリアルタイムのゲームプレイの企画をしています。
──:今回募集するスクウェア・エニックスのプランナー職について教えてください。
安江:弊社は企画の幅がとても広いんですよ。今回募集するプランナー職でいうと、「レベルデザイナー」といってひとつのワールドのコンセプトや遊び方の流れを企画し、ステージのルートや形状を3DツールやUnreal Engine 4(以下、UE4)で作るお仕事だったり、「バトルプランナー」といって敵キャラクターやプレイヤのアクションを企画し、AIやパラメーターを設定するお仕事だったり。その他、カットシーンやゲームプレイの演出を絵コンテで決め、UE4を使ってカメラやキャラクターの動きを設定するお仕事や、様々なミニゲームの企画をする仕事があります。
──:プランナーだけど3DツールやUE4を使ったお仕事をすることもあるんですね!
安江:そうですね、そこが弊社の特色でもあるのですが、企画書を書いたりアイデアを提案するだけではないんです。バトル部分のプランナーを例にすると、敵キャラクターやボスキャラクターのコンセプトを考えてアートの依頼をして、UE4を使って敵のAIを自分で実際に設定してデータを作っていくというクリエイター的な側面があります。
──:プランナーだけど、同時に実際に手を動かすクリエイターでもあるというわけですね。
安江:コンセプト部分だけで終わるのではなく、最後まで責任を持って作り上げるということが弊社のいう"企画"なんです。コンセプトを考えて実際に実装しつつ、自分が企画している要素のスケジューリングや進捗を管理する「みんなを引っ張っていく調整役」的なマネージメントの仕事もあわせてこなしていく仕事ですね。
──:広い範囲でお仕事が出来るのは魅力的ですね。企画書を提案するときに重要視しているところはどんなところですか?
安江:当然ですが、独創的なアイデアやユーザーに喜んでもらえる"ユーザー目線"の企画はとても大事ですね。中でも「心に突き刺さる驚きがあるか」という部分がポイントになるかと思います。さらに、技術的な裏付けやスケジュール、人員を意識した上で企画書を書かないと実際にかたちにすることができないので、そういう所もちゃんと考えられているかという部分も大切ですね。
──:理想と現実をちゃんと見ることができなければならないというわけですね。
安江:理想は絶対に持っていなければならないですね!ちゃんと夢を持った上で、ユーザー目線でユーザーの感動を呼び起こす、驚かせる、期待を上回るものを提案しなければなりませんからね。
<2>想像を超えた作品は個性豊かな人たちの化学反応から生まれる
──:安江さんはマネージャーでもありディレクターでもあり、またプランナーでもあり、と非常に幅広くお仕事をされていますが、気持ちの切り替えが大変じゃないですか?
安江:クリエイターとして子供の自由奔放な遊び心を持ちつつ、時にはマネージャーとして大人の常識を持ってロジカルに行動しなければならないので、精神年齢がころころ変わるというか(笑)。全く違う感性が求められるので、自分の中でスイッチングしながら仕事をしていかなければならないというのはありますね。
──:プランナーといっても業務の幅が非常に広いわけですが、マネージメントからクリエイティブなことまで全てこなせるマルチプレイヤーが求められているんですか?
安江:必ずしもマルチプレイヤーで無ければならないということもなくて、その人の適正次第な部分が大きいですね。クリエイティブに専念したければそれはそれで良いですし、マネージメントが得意というのならそういった部分に専念するのも良いですね。苦手なことがあっても、意欲的に学びつつ自分の得意なことで突き進んで行けば、正当に評価してもらえます。
──:ただ、これまで企画書しか書いて来なかったという人にとっては、実作業をこなすことに不安を感じる人もいるかと思うのですが......。
安江:私たちも新しいことを日々学んでいるので、新しいことを学ぶことに興味があれば大丈夫です。UE4の勉強会をするなど、みんなで勉強できるような場を用意していますし、社内にはマニュアルを使って色々教えてくれる人もたくさんいます。学習できる環境は万全に整っているので心配しないでください(笑)。
──:少し安心しました(笑)。では、安江さんが考える"プランナーとして絶対に欠かせない部分"はどういった点ですか?
安江:やはり「ユーザーに驚いてもらいたい」、「感動してもらいたい」という気持ちで自分のアイデアを出すという姿勢は重要ですね。あとは自分のことだけではなく周囲のこともちゃんと考えてアシストできるという点も大切です。特に、開発の繁忙期など忙しいときはチームの真価が問われます。そういうときに自分のことだけではなく、助け合いの精神を持って、困っている人をサポートできるかどうか。プランナーとして大事な部分だと思います。
──:スクウェア・エニックスを見て来た安江さんが思う、スクウェア・エニックスらしさってどういう部分ですか?
安江:弊社の特徴はいろいろありますが、ひとつだけあげるとしたら、「とことん挑戦する」といった部分です。リスクがあったとしても、人を感動させることにはコストを掛けて、真剣に挑戦します。"そこそこ良いもの"では熱狂は得られないので、"ズバ抜けたもの"を追求していかなければいけないなと思っています。
──:とことん追求する精神がスクウェア・エニックスの作品に現れているんですね。
安江:弊社は様々な作品をつくっていますが、「感動してもらえるタイトルをつくる」という点は共通しています。でも、それぞれテイストやジャンルはばらばらで多様性があるのもスクウェア・エニックスらしさですね。開発においても、いろんなコンソールやプラットフォームに挑戦出来ます。
スタッフも様々な個性やスキル、国籍を持つ人が集まっていて、多様だからこそ化学反応がうまれて、ぶっ飛んだ物が生まれるんです。日頃、みんなでアイデアをぶつけあいながら仕事をするのですが、個性豊かな人たちが起こす化学反応によって、想像の範囲を超えた、感動的な作品が生まれるんだと思います。
──:最後になりましたが、安江さんがこの新社屋で気に入っている部分はどこですか?
安江:窓からの景色はものすごく眺めが良いし、オフィスが綺麗で気分が良いですね。会議室から空港に離着陸する飛行機が見えたり、夜はネオンが見えたり、オフィス自体に夢があるなと思います。特にオフィスに入る"光"が魅力的です。ビル上層部なので、太陽の光がよく入るようになり、太陽の光から元気をもらっていますね。植物みたいですけど(笑)。ゲームでもライティングがとても大事でゲームのムードを魅力的にしますが、この職場の自然なライティングがとても好きです。魅力的なスタッフ、魅力的な環境で本当に最高です。
▲新オフィスの会議室。大きな窓ガラスは、光をふんだんに取り込むことができ開放的。良いアイデアも浮かびそう
現在開発中の『キングダム ハーツ III』は、自分にとって最大の挑戦だと安江氏はいう。スタッフ全員が、新しい表現や新しい技術に対して常に真剣勝負を挑んでいるスクウェア・エニックス大阪支社。『キングダム ハーツ』というIP(Intellectual Property)の可能性を一緒に広げていきたい、新しいことに積極的に挑戦したい、という熱意と意欲に溢れた応募を安江氏は楽しみに待っている。
全3回に渡ってお届けしてきた本連載。キャラクターデザイナー、プログラマー、プランナーと職種のちがう3名にスクウェア・エニックス大阪支社について話を伺った。それぞれのポジションに対する思いは三者三様だが、「感動してもらえるゲームをつくる」というゲーム制作への姿勢と目標は根底でしっかりと共有されている。目下『キングダム ハーツ III』の開発に全力を注ぐスクウェア・エニックス大阪支社ではスタッフを募集している。ゲーム制作への思いをぶつけ、彼らと共に世界を熱狂させてほしい。
プロフィール:安江 泰/Tai Yasue
カナダ、バンクーバー出身。
『ファイナルファンタシーVII』に感銘を受け、慶応義塾大学卒業後、株式会社スクウェア(現:株式会社スクウェア・エニックス)に入社。
『ベイグラントストーリー』、『テトラマスター』、『武蔵伝II』、『キングダム ハーツ バース バイ スリープ』、『キングダム ハーツ 3D』のマップやバトル、ゲームシステム、ミニゲームの企画を行なってきた。
現在は『キングダム ハーツIII』の企画や開発マネージメントを担当。
取材・文:UNIKO
撮影:島田幸治
編集:CGWORLD.jp
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