【後編】カプコン子会社なのに外部タイトル実績も豊富。数多くの大規模タイトルを手掛ける3DCG制作のプロ集団「ソードケインズスタジオ」とはいったい何者なのか?

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【後編】カプコン子会社なのに外部タイトル実績も豊富。数多くの大規模タイトルを手掛ける3DCG制作のプロ集団「ソードケインズスタジオ」とはいったい何者なのか?

ソードケインズスタジオインタビュー【後編】MV
 
2018年5月に設立されたゲーム専門の2D/3DCG制作会社「ソードケインズスタジオ」。コンシューマー・モバイルを問わず数多くの大型IPタイトルを手掛けながら、2023年7月26日には株式会社カプコンの完全子会社となり、新たな一歩を踏み出しました。同社がユニークなのは『モンスターハンター』シリーズや『STREET FIGHTER 6』などカプコンの大型タイトルに深く関わる一方、いまも他社プロジェクトに積極的に参加している点。今回は多様な現場で活躍する3名のクリエイターに、ソードケインズスタジオならではの仕事スタイルややりがいについて聞きました。
 

―――クリエイティブ面において、ソードケインズスタジオだからこその強みはありますか?

折笠氏:特にカプコン案件においては、頂いた指示に妄信的に従うのではなく、その目的を考えた上でよりよいアウトプットを提案することを重視しています。「この建物は、こういう構造の方が辻褄が合います」「進行上、このビルの位置は変えても良いかもしれません」など、プレイヤー目線で判断したうえで提言できるような空気のチームづくりを心掛けています。もちろん、他クライアントの場合も、ゲームの目的を第一に考えた制作を行っています。
松本氏:モーション班は「気が利く」がブランディングのひとつになっています。キャッチアップの速さや、「これは外注には伝わらないよね」という細かな機微を読み取れる点が強みだと思います。
仲宗根氏:キャラクター班も「提案力」が強みなのかな、と思います。三面図になっていないキャラクターの全身を想像で補うこともありますし、その意味ではどの職種も観察力と提案力は大切にしているのではないでしょうか。
 

―――こうした「提案力」は、他メーカーとの協業時でも共通して大切にされていますか?

折笠氏:そうですね、むしろ創業時はプロトタイプ段階からプロジェクトに入って、提案型で仕事をするケースも多かったと聞いています。今は会社の規模が拡大したことで量産期にも対応できますが、カプコン以外の案件でも上流工程から携わることは多いですよ。
仲宗根氏:私は既にリリースされたアプリの運営に関わっているため、90%まで詰められたモデルを100%にブラッシュアップする作業が中心です。ただ、こういったプロジェクトにおいても、今までの監修・フィードバックとの照らし合わせによって提案型の作り方をすることもあります。
仲宗根氏
 

―――これまでお話を聞いてきた中でも、かなりの数の有名タイトルに関わってきているかと思いますが、ぜひこの仕事のやりがいを教えてください。

松本氏:自分の担当したアニメーションが、SNSフィードとして流れてきたり、それに対して好意的なフィードバックを返している人を見たりするのが嬉しいです。これで「また次も頑張ろう!」と思えるんです。
仲宗根氏:有名タイトルに関わるということは、日本国内だけでなく海外からの評価も得られるということです。私が関わっている『FINAL FANTASY VII EVER CRISIS』は海外ファンも多く、クラウドやティファのコスチュームはほぼ自分の手が入っていることもあって、世界中の方にそれを見ていただけるのは大きなやりがいです。これは、海外までしっかり浸透した大きなIPだからこその利点だと思いますね。
折笠氏:個人的には、自分の成長を実感できたときが一番やりがいを感じます。大型タイトルは苦労することも多いんです。ときにはこれまで挑戦したことのない手法も求められますが、プロジェクトを通して作業するうちに徐々に実力が増し、最終的には製品クオリティになっていく。こうした過程そのものもやりがいになっています。
 

―――非常にいいモチベーションだと感じました。ソードケインズスタジオの社風の良さを感じますが、一緒に働くメンバー同士のコミュニケーションや雰囲気などはいかがでしょうか?

折笠氏:ゲーム制作に対する熱量が高い方がとても多いと思っています。ただ、だからといってストイックすぎたり、険悪なムードになったりは全くありません。気さくに話せる中においても自主学習やスキルアップ、自己研鑽をともにし合えるような雰囲気ではあると感じています。
仲宗根氏:上長にも相談しやすい雰囲気ですね。私は個人制作もやっていますが、こうしたプロジェクト以外のことも聞きやすいです。また、「今後こういったモデルを作ってみたい」という要望にも、プロジェクトアサインというかたちで応えてもらえる環境です。
松本氏:私も仲宗根と同じく、常に周りに相談できる人がいる環境が大きなメリットだと思っています。前職はフルリモートでしたが、それだと集中力が続かなかったり、一人で黙々作業することもなったりするので、出社が基本であるというスタイルも個人的には合っていました。
松本氏
 

―――ありがとうございます。最後に、ソードケインズスタジオが求める人物像や、現場にマッチする人柄・志向性について教えてください。

折笠氏:背景班はレイアウト作業がメインになってきていますので、アセット単品を作って終わりではなく、背景全体を意識した制作ができる方が嬉しいですね。その意味では、ゲーム性も一緒に考えられる人、プレイヤーのために頭を使える人が向いていると思います。
ゲーム業界に限らず、企業に所属して仕事をする以上はお客様の利益を最大化することが第一ですので、そのために積極的にアイデアや提案を行う主体性のある方が望ましいです。
仲宗根氏:スキル面ではデッサン力と造形力を求めたいです。逆に、DCCツールでのモデリング技術などは後からいくらでもお教えできます。キャラクター班は2Dデザイン画を3Dモデルとして再現する仕事も多いので、ディティールにこだわりすぎず、全体のシルエットを俯瞰で見られる能力も重要視しています。
チームメンバーとしては、協調性がある方、自分のスキルに満足せず向上心がある方であれば楽しく働けると思います。
松本氏:アニメーションで言えば、物事の観察力と、観察した対象の特徴をアニメーションとして落とし込める技術力があると良いですね。分からないことはすぐに質問する姿勢と、最後までプロジェクトをやり遂げる根気があると良いと思います。ゲーム好きな方と一緒に働きたいので、ぜひよろしくお願いします。
(取材・対談者:神山 大輝 / @gula_sound )
 
To Creator編集部
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