ゲームのローカライズに求められる要素は?採用されるために必要なスキル・経験
近年、ゲーム産業は急速にグローバル化し、ローカライズの重要性は一段と高まっています。この記事では、ゲームのローカライズ職への転職を目指す方に向けて、業務に求められる要素や採用で重視されるスキル・経験について解説します。実務プロセスやキャリアパスに関するよくある質問もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
ゲームのローカライズとは?役割を再確認しておこう
ゲーム業界におけるローカライズとは、ゲームを他の国や地域で販売する際に、単に言葉を翻訳するだけでなく、その文化や習慣に合わせて内容を調整する作業のことです。たとえば、ゲーム内のジョークや固有名詞、グラフィックなどを現地の文化に合うように変更します。
適切なローカライズによって、ゲームの魅力を損なうことなく、各国のプレイヤーにとって親しみやすい体験になるのです。
◎「ローカライズ」という言葉の意味は?
製品・サービス・コンテンツを他地域・他国向けに、言語・地域・文化・宗教・法律などに合うように仕様の変更をすること
ローカライズと翻訳の違い
| ローカライズ | 翻訳 | |
|---|---|---|
| 目的 | 言語だけでなく、文化や市場に合わせて最適化する | 原文の意味を別の言語に置き換える |
| 範囲 | 言葉・文章+文化・習慣・法規・宗教 | 言葉・文章 |
| 例 | 英語の “July 4th” → 日本では「7月4日」ではなく別の祝日に置き換える | 英語の“Hello”→日本語の「こんにちは」 |
ローカライズと翻訳はしばしば混同されがちですが、実際には異なるプロセスを指します。
翻訳は主に言語の変換を指し、テキストを一つの言語から別の言語へとそのまま置き換える作業です。一方、ローカライズは言語の範囲を超え、文化的・社会的背景を考慮して、内容を地域に適した形に再構築します。
ゲームのローカライズの実務プロセス
ゲームのローカライズには、さまざまなプロセスがあります。これらのプロセスを適切に行うことで、国境を越えて親しまれるゲームが完成します。
1.ファミリアライズ
ファミリアライズは、ローカライズの第一歩として、開発チームや翻訳者がゲームの内容や世界観を深く理解するプロセスのことです。この過程では、ゲームの実プレイや設定資料の読み込みが行われます。
このプロセスによって、ゲームのトーンやスタイルを把握し、適切な翻訳を行う準備が整います。
◎「ファミリアライズ」の意味
英語の「familiarize」は、「慣れさせる」「親しませる」「詳しくなる」といった意味があり、特定の状況や物事に慣れるように人や物事を促す動詞
2.グロッサリー・スタイルガイド
グロッサリーでは用語の意味や使い方を整理し、スタイルガイドでは文章全体のトーンや表記のルールを定めます。これを整備することで、複数の執筆者が関わる場合でも、統一感のある分かりやすい文章を作成することが可能です。文章の一貫性や品質を保つために欠かせないプロセスといえます。
【グロッサリーの例】
本来リンゴは英語でAppleと訳されるが、ゲームの設定上リンゴという果物を”悪魔の実”としている場合、そのゲーム内のリンゴはDevil fruitと訳される
【スタイルガイドの例】
文章内の言葉遣いは、敬体(ですます調)あるいは常体(である調)のどちらかに統一する・句読点は「、」と「。」を使う・数字とアルファベットは半角で表記する
3.翻訳
準備が整ったら、次は翻訳作業に移ります。この段階では、単に翻訳言語の文化や習慣に合わせるだけはありません。画面上に表示できる文字数の制約や、演出・操作性などゲーム特有の要素にも配慮する必要があります。幅広い視点から翻訳しなければならないのは、ゲーム翻訳の独自の難しさといえるでしょう。
4.ボイスオーバー
ボイスオーバーでは、翻訳先の言語でキャラクターのセリフなどを映像に合わせて録音します。単にセリフを翻訳しただけでは尺が合わず不自然に感じられる場合があるため、表現や尺の調整が必要です。
5.LQA(Language Quality Assurance)
ローカライズの最終段階として、LQA(Language Quality Assurance:言語品質保証)を行います。翻訳テキストなどをゲームに実装して確認していき、対象言語のユーザーが自然にゲームを楽しめるように品質を判断します。ミスがないか、適切にローカライズされているかだけでなく、訳文がテキストボックスに収まっているかなどの確認も必要です。
【LQAで主に確認すること】
- 文法・スペルミスがないか
- 訳が自然か
- キャラクターの口調などに一貫性があるか
- 翻訳先の文化や習慣に合った表現になっているか
- 訳が問題なく表示されるか ……など
ローカライズを支える2つの概念
ゲームのローカライズをするうえで欠かせない2つの概念があります。ここでは、「カルチャライズ」と「インターナショナライズ」について紹介します。
カルチャライズ
カルチャライズとは、ゲームの内容やデザインを現地の文化や習慣に合わせて表現を調整することです。言語だけでなく、ゲームに登場するシンボルやシーン、場合によっては仕様自体の変更が求められます。
また、販売する国の規制にも対応することも大切です。CERO(日本)、ESRB(北米)、PEGI(ドイツを除く欧州)などのレーティング制度ごとに、暴力・ギャンブル・性表現・犯罪行為などの扱いが異なります。
インターナショナライズ
インターナショナライズは、ゲームが複数の言語や地域でスムーズに動作するように、プログラムや設計そのものを汎用的にすることです。テキストの長さや表示方向が変わってもレイアウトが崩れないよう画面を柔軟に設計したり、各国の文化に合わせた日付・時刻・通貨の表示形式を自動で処理できるようプログラミングしたりすることが含まれます。
また、日本語のひらがな・漢字だけでなく、あらゆる国の文字を表示できるよう、Unicodeのような国際的な文字コードに対応させることも重要です。
ゲームのローカライズに関する近年の動向と仕事への影響
ゲームのローカライズを取り巻く状況は、日々アップデートされています。時代の流れに合わせて柔軟に対応していくことで、よりユーザーのニーズに即したローカライズを行えるでしょう。
ゲーム産業のグローバル化
近年、ゲーム産業は急速にグローバル化し、多言語・多文化に対応する需要が一層高まっています。プレイヤーが世界中で同時に体験できる環境が整ったことで、ローカライズは単なる翻訳にとどまらず、文化的背景や表現の違いに配慮した調整が求められるようになりました。
こうした状況から、ローカライズに求められる専門性や担う役割は、これまで以上に大きなものとなっています。
AI技術の発展
AI技術の進化により、自動翻訳や音声合成などがゲームローカライズにも活用され始めています。効率化が進む一方で、ニュアンスや文化的背景を適切に反映するには人間の専門家による確認が欠かせません。
AIは作業の補助となる一方で、ローカライズ担当者には品質管理やクリエイティブなライティングに注力する役割がますます求められます。
ゲームのローカライズの転職で重視される経験・スキル
ゲームのローカライズ業務で重視される主な経験やスキルを紹介します。転職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
進行管理と品質管理の実務経験
ローカライズの業務は、翻訳の発注から納品、そして実装後のチェックまで多岐にわたります。そのため、一連のフローを理解し、遅延なくプロジェクトを完遂させる進行管理能力が不可欠です。
また、翻訳が正しく反映されているか、違和感のある表現がないかなどを確認する品質管理(LQA)の経験も、ユーザー体験を損なわないために求められます。
データ管理ツールの使用スキル
数万文字にも及ぶテキストデータや、多言語での進行状況を効率的に管理するため、GoogleスプレッドシートやExcelの知識は大切です。具体的には、VLOOKUPやIF関数を駆使してデータを整理したり、ピボットテーブルで進捗状況を可視化したりするスキルが求められます。手作業では膨大な時間がかかる作業を自動化し、ヒューマンエラーを防ぐうえで極めて重要です。
また、JIRAなどのタスク管理ツールの使用経験も、チーム内でのスムーズな連携に貢献するでしょう。
ゲームプレイ経験
ローカライズ担当者にとって、対象となるゲームのプレイ経験は欠かせません。単にゲームが好きというだけでなく、プレイヤー視点でコンテンツを理解し、より自然な言葉選びや文脈に合った表現を実現するためです。
とくにRPGやダンジョン探索型ゲームでは、専門用語やキャラクターの口調、世界観に一貫性を持たせられるかが問われます。日頃から幅広いジャンルのゲームに触れていることで、ユーザーが求める体験を深く理解できるでしょう。
ゲームのローカライズでより好条件な転職先を見つけるために積んでおきたい経験
以下の経験を積んでおくことで、より好条件な転職先を見つけられるかもしれません。ゲームのローカライズの現場で活躍できる経験を紹介します。
実際の求人票から求められる経験を確認するのも手段の一つです。あわせてご覧ください。
翻訳ツールの使用経験
ローカライズの転職では、翻訳作業の効率化と品質向上に貢献するツールの使用経験が重要です。CrowdinやMemsourceといったツールは、複数メンバー間での作業連携やプロジェクト管理を円滑にします。
また、業界標準であるTrados Studioをはじめ、SDL Passoloなどの専門的なツールに習熟していることも大切です。大規模プロジェクトや厳密な品質管理が求められる現場で、即戦力として評価される大きな強みになります。
ベンダーマネジメントの経験
ローカライズの質は、外部の翻訳ベンダーの能力に大きく左右されます。そのため、複数のベンダーを比較検討し、コストと品質のバランスを取りながら交渉を進めるスキルは非常に重要です。
ベンダーとの円滑なコミュニケーションや品質管理の経験は、チームをまとめるうえでも大きな力となります。チームをリードするマネジメント力の証明にもなるでしょう。
スタイルガイドの構築・管理経験
多くの翻訳者は、あらかじめ用意されたスタイルガイドに従って作業を行います。しかし、より好条件なポジションでは自らスタイルガイドを構築し、運用していく能力が求められます。これは、プロジェクトの立ち上げ時に翻訳の方向性を定義し、チーム全体の品質を均一に保つために欠かせない役割です。
ゲームの開発経験
ゲーム開発や運営の経験があると、ローカライズ作業を上流工程からスムーズに進められます。たとえば、ローカライズしやすいプログラムやUI設計を提案したり、翻訳の過程で発生しうる技術的な問題を事前に予測したりできます。
ローカライズは開発と密接に関わる作業のため、開発側の視点を持っていると、より深いレベルでプロジェクトに貢献できることを示せるでしょう。
ゲームのローカライズに関するよくある質問
ゲームのローカライズに関するよくある質問をいくつか紹介します。不明点がある方は、ぜひ参考にしてください。
Q.ゲームのローカライズのキャリアパスは?
A.ゲーム翻訳者として経験を積み、リードローカライザーやプロジェクトマネージャー(PM)を経て、最終的にはローカライズ全体を統括するマネージャー職へ進むキャリアパスが一般的です。また、専門性を深めて特定言語のエキスパートやLQAスペシャリストとして活躍する道もあります。
Q.ゲームのローカライズの平均年収は?
A.日本では、ゲームのローカライズ職の年収は一般的に300万~500万円程度です。経験豊富なリードやマネージャー職になると、500万〜700万円以上も狙えるケースがあります。ただし、企業規模や経験年数、担当業務の範囲によって大きく異なります。
ゲームのローカライズでステップアップするなら、エージェントを活用しよう!
ゲームのローカライズは、グローバル展開において欠かせない専門職です。ステップアップを目指すのであれば、進行管理や品質管理の実務経験、データ管理ツールの使用スキル、そして豊富なゲームプレイ経験が求められます。また、翻訳ツールの習熟やベンダーマネジメント経験があれば、より好条件での転職が可能になるでしょう。
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